移動楽器博物館

たくさんの楽器を間近で見て聞いていただくことができる「移動楽器博物館」  一度のコンサートでは持参できない、多種多様な楽器を展示いたします。ご依頼に応じて開催しますので、詳細はお問合せ下さい⇒



■左:コブザ。この楽器はペルシャで生まれたウードの派生楽器です。10~11世紀にはほぼこの形になっていたと考えられるルーマニアやハンガリートランシルヴァニア地方の農民やロマ(ジプシー)達が多く使用してきた楽器。
ウード同様フレットはなく、短いネックと折曲がったヘッド、複弦が特徴の撥弦楽器です。この名前に近い名称の楽器は東ヨーロッパから西アジア、ウクライナなどで見られますが、楽器の系統では別と考えられ、ロマ達によってウード系の楽器が持ち込まれたのがルーマニアのコブザの起源と言われています。私は十数年前、思い焦がれていたハンガリーへ行き、1枚のロマ(ジプシー)のCDのジャケットに写っているコブザの写真を頼りに、ブダペスト中の楽器屋を探し回りましたが、この楽器に関する情報を得ることはできませんでした。夜、ジプシーミュージックの生演奏を聞かせるお店を何軒も梯子しながら、音楽家たちにも情報を求めましたが、この楽器の存在も知らないという声も多く、そうか、東京でいきなり邦楽の古楽器を買おうとしているようなものなんだろうなと思いました。ハンガリーを離れる間際にどうしてもあきらめきれず、もう一度情報を求めて歩き回り、ブダペスト民族博物館のショップでかろうじてコブザ教本を見つけて持ち帰ったのが唯一の収穫でした。その当時はネットにもほとんど情報がありませんでしたが、数年後やっと見つけることができ、現地から取り寄せたのがこのコブザです。素朴でぼくとつとした音色が、たまらない楽器です。
演奏↓
http://youtu.be/x_zyUibONDM?t=1m35s

■左から二番目:ブズ-キ(ギリシャ)。
ブズーキは紀元前にレリーフとして残っているパンドューラの直系の楽器と考えてよいギリシャの楽器。現在は50年代に生まれた8弦4コースもポピュラーになっていますが、20世紀はじめにトルコのサズから派生した楽器で、トルコ語のボゾック(改変とか廉価版の意、同名の楽器も存在)が変化して6弦3コースのブズーキという楽器が生まれました。ジャラジャラとした華やかで強い音色が特徴の楽器で、ギリシャではポップスやロックにも多く使われています。この楽器は自分にとって民族楽器の扉を開いてくれるきっかけとなった楽器で、20年前に両親がロードス島で購入してきてくれました。当時はまったくギリシャの音楽もわからず、その頃川越にあったヨルゴスというギリシャレストランで毎月ギリシャミュージックパーティが開催されるようになり、そこでギリシャ音楽はじめワールドミュージックの面白さにはまっていきました。その後、ブズーキ持ってるならアイリッシュやりなよとアイリッシュパブのセッションに誘われ、後で知ったことですが、このギリシャのブズーキは60年代にアイリッシュミュージシャンたちにアイルランド音楽の伴奏楽器として使われだし、やがてアイリッシュブズーキという別の楽器が誕生します。
ギリシャのブズーキの演奏と、酒場の踊りゼイベキコス↓
http://youtu.be/5i6UZOcB-Xg

■右から二番目:ブズ-キ(アイリッシュ)。前述のギリシャのブズーキの影響で70年に生まれた楽器ですが、その機動性のよさと音の響きからあっという間に世界中に広がっていった万能民族楽器。しかし、この楽器自体はギリシャブズーキよりもむしろ、マンドーラやシターン、イングリッシュギターといった楽器の流れを再現した印象があります。一般的にアイリッシュブズーキはティアドロップ型で、私の持っているタイプは変形版。ギリシャブズーキ同様複弦4コース8弦ですが、チューニングはGDAD(またはGDAE)と、広い音域を使います。アイリッシュミュージックは古くはコード楽器が伴奏で使われることはなかったのですが、さまざまな他ジャンルの影響やショーアップされていくうちに伴奏楽器も重要視されるようになりました。アイリッシュミュージックは独特のコード感や伴奏スタイルも確立され、世界中にファンの多い音楽です。

アイリッシュブズーキとイーリアンパイプの演奏↓
http://youtu.be/ucE72xpvT7Q

■右:プエルトリカンクアトロ。クアトロは数字の4を意味するスペイン語で、弦の数が楽器名になったパターンです。
クアトロという楽器はキューバ、ベネズエラなどにもあり、カナリア諸島のティンプレ、ポルトガルのカバキーニョという4弦のウクレレの元になった楽器が起源といわれています。400年前にはクアトロらしき楽器として南米に存在し、プエルトリカンクアトロは一度スペインに持ち帰られてから進化?して(またはルネッサンスの古楽器の影響で)1コース増えて戻ってきたという楽器。5コース10弦になっても、名前は変わらずクアトロというのはちょっと不思議です。
音色はきらきらとした華やかな音がします。メロディもコードもリフのバッキングも楽しい楽器。
音色は↓
http://youtu.be/MK6WR2a5ayM


インドの楽器と、それに影響されて生まれた現代西洋楽器をご紹介します。

■左:サロード。北インドの楽器。アフガニスタンのラバーブがもとになり13世紀以降できた楽器という説がありますが、もともとインドで発祥した楽器がもとになって変容したとも考えられ、現代のサロードの形として完成されたのは20世紀になってからです。フレットはなく、指板は金属、ボディはかたい木材をくりぬいて作るため大変重く、共鳴胴には羊の皮が張られ、メロディー弦の他にドローン弦、複数の共鳴弦が張られています。当初は鉄弦ではなかったのかもしれませんが、インドでは早くから鉄を細く伸ばす技術が発明され、楽器の弦としての鉄の利用が早かったと言われています。演奏は弦の上で指を滑らせて経過音を多用するグリッサンド奏法やビブラートを用い、ココヤシの殻でギターのピックのようにはじいて音を出します。この楽器は2006年インドにタブラ修行に行っていたタブラ奏者Hajime Yoshidaに頼んで空輸してもらいました。
演奏↓


■中:シタール。もっとも有名なインド楽器といってよいと思いますが、これも北インドの楽器です。シタールはとても大きく、抱えるようにして演奏する楽器ですが、見かけによらずとても軽いです。ボディの材質がヒョウタンや夕顔の実などを乾燥させたものと木でできており、中が空洞になっているからです。シタールはペルシャのセタール(セ=3、タール=弦)とインド古来の楽器「ビーナ」が合わさって14世紀頃に生まれたとされる説もあり、17・18世紀にインドで現在の形になったと言われています。可動式のフレットを持ち、強烈なチョーキング(弦を指で押し下げ音程を上げる奏法)による経過音を多用した旋律と、独特のブリッジの構造が出す、弦がビヨーンとビビるような音が特徴の独特の楽器です。この「ジャワリ」というブリッジの構造は、「音に命を吹き込むもの」とも言われ、三味線・琵琶にある「さわり」と同じ語源と考えられています。また、サロード同様、メロディ弦の他に複数の共鳴弦が張られています。シタールが世界的に有名となった理由の一つに、ビートルズのジョージハリスンによるロックミュージックへのシタール導入とサイケデリックムーブメントがあります。60年代中ごろから、ロックの革新とヒッピー文化が重なり合い、シタールの音色とともにインド哲学・東洋思想が西洋でブームとなっていきます。もともと宮廷音楽や祈りのためだったインド古典音楽ですが、そこから大音響で大勢に聞かせるためにフェスで演奏されたり、タブラという太鼓と超絶技巧を多用した見せ場を持つ演奏スタイルも確立されていきました。
演奏↓
https://youtu.be/zWTa7g32Ql4

■右:エレキシタールギター
ビートルズのシタール導入による大ブームから、シタールを取り入れるロックバンドは多くなりましたが、シタールは西洋の弦楽器とは異なる独特の奏法のため弾きこなすことが難しく、また持ち運びも大変だったことから、アメリカのエレキギターメーカーのダンエレクトロがギターのブリッジ部分にジャワリに似た効果を出せる構造を作り、1967年エレキシタールギターとして発表しました。ギターとしての6弦以外に、シタール同様、複数の共鳴弦も持ち、その後さまざまなメーカーからコピーモデルが発売されましたが、ほとんどがこの形を踏襲しています。伝統を大事にする思考から見ると、この手の試みは軽視されがちですが、実はすべての楽器や文化の進化とはこういう試みの中で成立してきました。東洋の伝統楽器と西洋の近代楽器とのコラボにより、新しい物が生み出されていく良い例となる音の創造物を、是非お聞きください。
演奏↓PAT METHENY「Last Train Home」
http://youtu.be/1g6nPYyIS_I


Japanese Vintageと呼ぶにふさわしい、日本が誇る職人技の楽器たちをご紹介します。

■左:Takamine Classic(Lute)Guitar
Takamineといえば、いまやエレアコの代名詞になる日本が誇る世界的なギターメーカーです。
Takamineのエレアコは1979年 アメリカで先行発売され、ライクーダー、イーグルスなどの使用で海外の音楽シーンではTakamineブームが起こり、遅れて日本のミュージシャンの間にも浸透していきました。
私がギター少年時代には、Takamineの存在は知らず、EliteやNashvilleというブランドは見かけることはありましたが、これが高峰製のブランドだったと後で知りました。
70年代半ば「Takamine」ブランドに統一してから、エレアコを発表するまでのわずかな期間に、このリュートギターは作られました。
60年代はクラシックギターを多く製造していただけあり、このリュートギターにも、Takamine Classic Guitarというラベルがボディ内に貼られています。
そして、驚くべきはそのパーツ一つ一つの精度と、全体の仕上がりの高さです。木製のテールピースも、ブリッジも40年近くたっていると思えない状態の良さ。ボディのバランスもしっかりしています。
この形状やこのサウンドホールは、ルネッサンスの古楽器のイメージを取り入れたのだろうと思いますが、どういう位置づけで、誰向けに出されたものかはまったく資料不足でわかりません。
サイズはレキントギターサイズ。フィンガリングの細かいニュアンスの音がくっきりと出せます。
当時の日本のギター職人の技を感じることができる楽器。

■中:Kiso Guitar。1950年代に作られた木曽日本弦楽器のピックギターです。
このシェイプのギターは、アメリカの世界的なギターメーカーGibsonによって20世紀はじめにArchtop Guitarとして発表されました。
その後、世界中に広がり、日本でも職人達の手によりピックギターとして再現されていきました。
ボディ内のラベルにはKiso Guitar [Over Wave] NIPPON GENGAKKI I.U.LTD KISO FUKUSHIMA JAPANと記載されています。
輸出を意識したモデルかもしれません。テールピースには蝶のシェイプが型抜きされています。
木曽福島には鈴木バイオリン社もありました。あのSUZUKIメソッドの鈴木バイオリン製造と財閥解体で戦後すぐに分社させられた会社で、その後オーダーメイドギターメーカーから総合音楽企業へと転進していったESP傘下になりました。
戦前から木曽福島は世界に向けて楽器職人を育てた町でした。

■右:マンドリン(Masakichi Suzuki)
この楽器はスズキバイオリンの創始者、初めて日本でマンドリンを作成した鈴木政吉氏のもとで、明治時代に作られた、1世紀前の楽器です。
2002年にフジテレビ系列で放映されたお昼の連続ドラマ「真珠夫人」(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shinju/)では撮影用に貸し出し、横山めぐみさんや松尾敏伸さんにも弾いて頂きました。原作は大正時代の菊池寛による小説でした。
この楽器の原型となったのは、ナポリ型マンドリンを完成させたイタリアのカラーチェマンドリンです。トップに蝶を象ったデザインが特徴的です。
この楽器の驚くべきは作り始めのモデルとは思えないバランスのよさと、部品の細部に渡る丁寧さと品質の高さです。ボリュームも大きく、現役で調整なしで演奏が可能な楽器です。まさに日本人の技術力と意識の高さを感じられる逸品です。
参照↓(日本のマンドリンの原点mandolin-cafe "masakichi")
http://www5.plala.or.jp/mandolin-cafe/20-masakichi.html

小型の擦弦楽器(弓で弾く楽器)をご紹介します。
■左:レバーブ(ケマンチェ)。この楽器はバイオリンの原型といわれるペルシャで生まれた楽器ですが、レバーブ、ルバーブ、レワープ、ラバーブ、ラワープなどなど、この名前に近い名称の楽器は西アジアからアラブ圏、東南アジア、アフリカなど各地で見られます。多くは共鳴胴に動物の革が張られていることが共通しています。弓で弾く楽器もあればギターのようにはじく楽器もありますが、このレバーブは、ヒョウタンの胴を持ちおそらく羊の皮がはられています。演奏は立てた状態で弾き、エンドピンの部分がとがっていることから英語圏ではスパイクフィドルと呼ばれることもあります。二胡よりもバイオリンに近い感じの音がします↓

http://youtu.be/G3AdpPtV-WE

■左から二番目:キットフィドル(ポシェットバイオリン)。これは携帯できる(ポケットに入る?)バイオリンの現代版ですが、16世紀初めごろから作られていたようです。ドイツ、フランス、イギリスをはじめとするヨーロッパの貴族や、ストリートミュージシャン、ダンスマスター等によって携帯性の良さで散歩や裁判所などにまで持ち歩かれていたバイオリンです。キットは組立材料一式の意味ではなく、ポケットの末尾の略称から来ているとのこと。今も昔も、楽器を肌身離さず携えていたい欲求の方々は変わらないということですね。ステッキ型のバイオリンなど、受け狙いとしか思えないようなものもありましたが、その時代に生まれていても私はキット買っていたでしょう~~♪音は流石に小さいですが、このマニア感がたまらないですね。
http://youtu.be/mhuva3uwtHY

■右から二番目:京胡。京劇の細かな感情表現を表す楽器として、民間の中から生まれとりいれられた楽器。共鳴胴もネックも竹を使い、皮は二胡よりも薄い蛇皮がはられ、甲高くつき抜けるような音色がします。この楽器としては200年の歴史と言われていますが。この楽器の構造自体は最も古い擦弦楽器の構造に近いと考えてよいと思います。小さいながら感情表現豊かな華やかな音色の楽器として、現在でも様々な流派が存在し発展している中国の楽器です。
http://youtu.be/ao2loxINZQc

■右:ケマンチェ。(カラデニス・ケメンチェ)トルコの黒海の漁師たちのかっこいい衣装のダンス(ホロンダンス)で伴奏楽器としても使われる船型フィドル。縦に構えて、ボウイングでリズムを表現します。このダンスは網にかかってもがく鰯を表しているらしいです。ケマンチェはレバーブ同様、地中海や黒海周辺の地域で弓で弾く楽器に多く使われる名称ですが、ペルシャ語の小さな弓という意味が語源になっているということです。キットフィドルと共通点も多く見られます。かっこいいダンスとともに演奏される黒海ケマンチェを是非ご覧ください。
http://youtu.be/D6Y-gP9--pQ


ビワ型の中国楽器をご紹介します。
■左:中国琵琶。#01 で紹介したウードと同じルーツを持つ楽器です。中国から日本に伝わった琵琶は正倉院にも保存されていますが、中国の琵琶は日本に伝わった後も進化を続け、平均律のフレットを複数持ち、弦も鉄弦になり、奏法も撥から爪(に付け爪のようなビックをつける)に、楽器の構え方も横から縦へ変わっていきました。
中国琵琶の本物の演奏はぜひこちらを!↓
https://www.facebook.com/photo.php?v=10201463119678183
演奏者プロフィール↓
http://biwa-w.jimdo.com/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB/

■中:詳細が不明な楽器ですが、おそらく中国音楽アンサンブルのなかで、チェロ(大提琴)の役割をする楽器として作られた近代楽器ではないかと思います。似たような楽器が拉阮や革胡としてありますが、この楽器の決め手はこの琵琶と同じボディ形状とヘッドのつくりです。弓で弾きますが、音量の大きな荒々しい音色がします。

■右:柳琴。中国の地方劇の伴奏用の民楽アンサンブルの中で生まれた200年ほどの歴史がある楽器です。小ぶりな琵琶という感じの楽器ですが、土琵琶とも呼ばれ、ピックで演奏し、柳の木を使っていたところからこの名がついたそうです。当初は2弦で、フレットも少なく、現在の形になったのは1970年代ですが、その扱いやすさと愛嬌のあるルックスと音色の目立ちやすさで、現在ではカデンツァも奏でられる楽器になっています。
この楽器は台湾で購入しましたが、現地でも二胡同様、品揃えが豊富でした。
http://youtu.be/dUOljFtV9gY


ロングネックしゃもじ型の楽器をご紹介します。
■左:セタール。イランの3コース4弦の楽器。セはペルシャ語で数字の3、タールは弦を意味します。楽器の名前は「三弦」ということです。この楽器の原型となったものが、中国の三弦になり、日本に伝わって三線~三味線になったと考えて良いとおもいます。この楽器は形状は、紀元前、古代ギリシャのレリーフから出土している弦楽器(Pandura)の形状に酷似しています。これら弦楽器はペルシャで生まれ、イランにはその原形に近い楽器が現存しているということなのでしょう。フレットは平均律ではなく、アラブ独特のマカーム(微分音が表現できる旋律)が表現できる配列になっています。つま弾く感じの演奏と、微分音が大変郷愁を誘います↓
http://youtu.be/4tDqg8nIm8Y

■中:サズ。トルコの3コース7(6)弦の楽器。サイズも様々なものが存在し、現在でもエレキサズなどが作られ、現代音楽でも使用されている民族楽器。吟遊詩人らによって弾き語り的に使用されてきた、生活に密接した楽器です。この楽器もセタール同様、フレットは平均律ではなく、微分音が表現できる配列になっています。セタールは表面に小さな穴が複数空いているのに対し、サズは表面にサウンドホールはなく、下面(サズを立てたときに床に接する部分)にサウンドホールが空いているのが特徴的です。
音色・演奏はこんな感じ↓

https://youtu.be/nTVIWsEGBMs

■ドタール。ウィグルの2弦の楽器。ドはペルシャ語で数字の2、タールは弦を意味し、「2弦」という意味の楽器です。(インドの有名なシタールもシ=7もしくは複数+弦という意味の楽器です)ドタールは、ウィグルでは一家に1台といわれるポピュラーな存在だそうです。たった2本の弦でここまで表現力が出せる驚愕の演奏をお聞きください↓
http://youtu.be/_afBpXoG3mc


■左:ピン。タイ、イサーン地方の3弦の民族楽器。もともとはアコースティック楽器でしたが、これは近年改良されシングルコイル付きのソリッドボディになったエレキピン。フレットは等間隔ではなく、ヘッドには巨大なうろこ模様の彫り物があります。演奏を聴くと、日本の三味線の奏でる音楽との共通点を感じることができます。
http://youtu.be/XsAhjpSIMII

■中:三線(サンシン)。沖縄の楽器です。中国の三弦(サンシェン)が伝わったとする説が有力です。それが琉球王朝から堺にわたり、琵琶奏者がこれを改良し日本の三味線になったと言われています。そのため、三線が爪の先にはめた動物の角などで弦をはじくのに対し、三味線は琵琶と同じような撥というもので弦をはじいたり、たたくような奏法が存在します。また、サワリという弦をビビらせて倍音のような効果音を出す仕組みが取り入れられてるところも、琵琶奏者に由来していると言われています。
※三線は、通常黒い竿(ネック)が一般的ですが、これは車の塗料を使った特注品のメタリックブルー三線です。そこが珍品ということです。

■右:エジプトウード。ウードは薄い木片を意味するアラビア語です。原型となるリュート型弦楽器は5000年以上前に存在したとも言われています。現在ウードと呼ばれる楽器は西アジア~中東~北アフリカなど各地にありますが、エジプトのウードは特に装飾の美しいものがあります。このウードも、バックのボール部分は寄木と螺鈿で美しい模様の細工がされています。